2019.11.01 行って、見て、聞いてきた

自分で学習してどんどん進化する!「人工生命」について聞いてきた!〝アトラクチャー株式会社〟

「アトラクチャ―株式会社」行ってきた

こんにちは!「3rd Factory レポート」編集部のFです!

みなさん!〝バンダイナムコアクセラレーター2019〟というプログラムをご存知でしょうか?

こちらは、「バンダイナムコグループのリソース、ブランド、専門メンター陣」と「企業家たちの、新しいアイデア、スピード、実行力」を組み合わせて、革新的な事業を展開していこう!というプログラム。

つまり簡単にいうと、「新進気鋭の企業家さん!その事業、バンダイナムコグループでお手伝いさせてください!!」という内容です。

去る9月30日(月)、そんなバンダイナムコアクセラレーター2019のビジネスプランコンテストが開かれ、プログラム採択企業(優秀賞)が発表されました!

応募総数は206社。その中で、優秀賞に選ばれたのは5社。

こちらの5社は、今後アクセラレータープログラムの支援を受けながら、事業の急成長を目指すため2020年1月末に開催される成果発表会〝Demo Day〟に向けて動き出します。

本シリーズでは、この5社が「普段何をしている企業なのか?」「どんな事業を進めているのか?」を実際に行って、見て、聞いて、みなさんにお伝えしていこうと思います!

というわけで今回は、アトラクチャー株式会社さんの取材へ行って参りました!

オフィス!?自宅!?アトラクチャー株式会社はマンションの一室

アトラクチャー株式会社は中村 政義(なかむら まさよし)さんが2019年2月に設立した会社。簡素!!!

自宅兼オフィスということですがそれにしても物がありません…。まさか…中村さん自身が人工生命…!?

台所へお邪魔したところ、生活感がバンバン伝わってきました。昆布は尿の酸性を中和する効果があるとのことで、筋トレ後に口にしているそう。 ※中村さんいわく「昆布は尿をアルカリ性にする効果があります(自分の尿でpH測定して実験済みとのこと)。従って尿酸の排出に効果があるかもというところ」だそうです。

よかった!人間みあった!!(中村さんはミニマリストというわけではないそうですが、自然とこういう部屋になってしまったとのことでした)

…それではいよいよ、中村さんにインタビューしたいと思います!

人工生命に魅せられて研究開発の道へ!「人間の常識にとらわれない面白さ」

——まず、アトラクチャー株式会社はどういう会社なのでしょうか?

中村:人工生命を作り上げる技術をもとにサービスを開発する会社です。人工生命とは、コンピューターシミュレーションで生命のような現象を再現して、生命を理解しようとする研究分野です。

——会社を設立した経緯を教えてください。

中村:人工生命の中でも特に、3Dのキャラクターをしっかり作って世に出していこうということで会社を設立しました。キャラクターを自然界のような環境に入れてシミュレーションすると、現実の生物に近いような動きをしたり、学習させることで生物っぽく動くんです。そういうところにすごく魅力を感じていて、昔からプログラムを作っていたんです。

——そもそも中村さんが人工生命に興味を持たれたきっかけはなんだったのでしょうか?

中村:大学生の時に読んだ本の中に、カール・シムズという研究者の人工生命に関する研究結果が書かれていたんです。仮想空間で生命を進化させたら、うねうねと泳ぐものができた、という内容でした。それにすごく衝撃を受けて、自分でも同じようなことを始めたのがきっかけです。

こちらが中村さんが読んだという研究の動画。1994年に既に発表されていたそうで、そういう意味でも確かに衝撃的です。

——人工生命はどういった仕組みで動いているんですか?

中村:様々な方法があります。例えば、物理計算をするように仕込んでおいた環境の中に、ワームなど生き物のCGを入れます。すると、生物は関節をランダムに動かします。そして、「この動きをすると前に進める」というような〝経験〟が生物にどんどん蓄積していくんです。そこから、「動きを少し変えたらもっと前に進めた」「こう動いたらもっと効率よく進めた」などと学習をしていき、行動の最適化が進んでいきます。

——なるほど、そうやって生き物らしい動きに近づいていくんですね。

中村:そうなんです。でも、四足歩行をさせようとしていたのに、最終的にでんぐり返しをしながら進む生物になったりすることもあるんですよ。そのように、人間の常識にとらわれない答えを出してくれることがあるのが面白いですね。

競合は少なめ!?一筋縄ではいかない生命の創造!

——突然ですが、中村さんにはライバルっていらっしゃるんですか?

中村:それが、いないんですよね。ただただニッチ、という意味で。研究室に、変な動きをさせたいとか架空の生き物を作りたいって人がほとんどいなかったんです。研究としてやっている人もいるにはいたんですが、産業応用したい人は少なかったですね。そういう意味で僕は結構めずらしい存在なのかなと思います(笑)。

——そうなんですね(笑)。ちなみに、今から人工生命を作りたい!となったらすぐにできるものなんでしょうか?

中村:シンプルなものなら頑張れば出来ると思います。ただ、〝キャラクターの動きを作る〟となると簡単にはできません。

——研究としての人工生命と、キャラクターとしての人工生命の違いとは何でしょうか?

中村:人工生命をキャラクターとして動かすには、アニメーションへの感性が必要になります。また人間が進化する仕組みを作ることで、人工生命というのは生じてきます。まさに自然界の様々な生物と同じです。なので人間の常識では考えつかないキャラクターを作ることができるんです。

——うーん、一筋縄ではいかないんですね。

中村:コンピューターに計算させることによって、思いもしないようなキャラクターが生まれてきてくれると考えています。どこかの研究所がやろうとしても、担当者が相当な熱意の持ち主でない限り同じことはできないでしょう。

IPとの融合で、アトラクチャーの人工生命は進化を遂げる!

——現在、中村さんが特に力を注いでいることを教えてください。

中村:はい。ふたつあります。まずひとつは、人型の人工生命。人型の中でも特に、ゾンビなんかはすごくいい動きをしてくれると思っているので、その技術をホラーやシュールな世界観の作品へ提供していきたいですね。

——ふたつめはどのようなものでしょうか?

中村:もうひとつは、かわいいキャラクターの活用です。人工生命は、最初から設計された動きを再生するわけではありません。ユーザーがどう育てるかによって形や動きが変わるんですよ。なので、ユーザーが人工生命をペットとして育てるゲームアプリを作りたいです。あくまで思い付きですが、自分が育てたペットと友だちのペットをかけ合わせたり遊ばせたりできると楽しそうですね。

中村さんが制作した、人工生命用のキャラクターコントローラー。人型ゾンビの動きは、見れば見るほど面白い!

——それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

中村:人工生命の世界観全体をIP化したいと考えています。これまでのIPはユーザーとのやりとりができないんですよね。でも、人工生命ならリアルタイムでユーザーとやりとりができるんです。たとえば、先ほどのペットを飼育するゲームであれば、ユーザーがエサをあげたら、ペットがエサに向かって走っていったり。

Demo Dayでは、バンダイナムコさんのキャラクターを動かしてみようと思っています!

マンションの一室から生み出される無限の可能性にワクワクしますね!中村さんのこれからの研究に期待しましょう!

次回もアクセラレータープログラム採択企業を取材していきます!お楽しみに!!