2019.12.06 行って、見て、聞いてきた

〝香り〟の特殊効果でエンターテインメント空間を包みこむ!〝株式会社SceneryScent(シーナリーセント)〟

「株式会社SceneryScent」のことを聞いてきた

こんにちは!「3rd Factory レポート」編集部のFです!

バンダイナムコグループと新進気鋭のスタートアップ企業がタッグを組み、新しい事業創出を進めていく「バンダイナムコアクセラレーター2019」!このプログラムに採択された企業5社を詳しくご紹介している本シリーズ。

いよいよラストとなる第5回目は、〝香り〟を扱った事業展開をしている株式会社SceneryScent(シーナリーセント)さんを取材してまいりました!

株式会社SceneryScentは2017年に設立。どことなく不思議な響きを持つ社名ですが、辞書を引くと〝Scenery〟は「風景」、〝Scent〟は「香り」とあります。

〝香り〟といってイメージするのはアロマオイルや香水。ラベンダーの香りやフルーツの香り、ペパーミントのすーっとした香りなどなど、千差万別です。〝風景〟と〝香り〟…いったいどんなビジネスをされているのか、気になりますね!

ところで、株式会社SceneryScentさんは大阪に居を構える会社!今回はちょうど幕張メッセで開催されていた展示会に出展中とのことで、そちらの会場内でお話をうかがえることになりました!では、さっそく行ってみましょう!

〝香り〟を使った空間演出!株式会社SceneryScent代表の郡(こおり)さんに話を聞いてきた!

株式会社SceneryScent代表の郡 香苗(こおり かなえ)さん。採択企業5社の中では唯一の女性社長です。

——株式会社SceneryScentさんがどのような会社なのか教えてください。

郡:〝香り〟の空間演出を行っている会社です。エンターテインメントに力を入れておりますので「舞台演出」「映像演出」「イベント演出」の特殊効果の一つとして香りを使うことを主に行っています。

——香りといいますと、アロマオイルや調香のイメージがあります。もっと幅が広いものなのですか?

郡:そうですね。演出で多いオーダーが「食べ物」「飲み物」の香りです。例えば、舞台で役者さんがラーメンを食べているシーンでラーメンの香りを客席に出してほしいとか。他には、花の映像に合わせてお花畑の香りがほしいといったものです。色んなシーンに対応できるように香りを取り揃えています。

今回、幕張メッセの展示会に出展されていたセカンドステージ株式会社さんのブース。こちらで株式会社SceneryScentさんが香りの演出を担当しています。

うーん、リアル!360度ディスプレイで、道頓堀の風景が臨場感たっぷりに再現されています。そしてなんと、どこからともなくソースが焦げたような、お好み焼きの香りが!!

——今回の展示会では映像と一緒にお好み焼きの香りや森の香りを体験しましたが、大体どんな香りでも再現できるんでしょうか。

郡:はい。オーダーメイドで対応しています。ベーシックの40種類を取り揃えていますが、それ以外にもなんでもオーダーいただければ作らせていただきます。

こちらが基本となる香りの一例。中には〝雨〟〝廃墟〟という香りまで!

——それでは、会社を設立した経緯を教えてください。

郡:もともと私はアロマセラピストをしていましたが、あるとき特殊効果に携わっている方から「〝香り〟の需要があるのに、専門的にやる人がいない」と聞きまして。いないんだったら私がやりましょうという話になり、そのうちに演出の仕事が増えてきて段々シフトした形です。

——なるほど。

郡:もうひとつ、きっかけがありまして、大阪のNHKホールで『ヘンゼルとグレーテル』のミュージカルがあり、お菓子の家が出てくるシーンでお菓子の甘い香りを出して欲しいとオーダーをいただいたことがありました。そのとき初めて大きな舞台の演出に関わって、セラピストとしてクライアントとの1対1で癒す関係と異なり、香りを使って1対多で大勢の方を感動に導くことを経験しました。

スタンドプレーではなく、プロフェッショナルが集まって一つの作品・イベントを作りあげる面白さを感じて、それがアロマセラピストから演出家へのシフトをしたきっかけですね。

——そうなんですね。大阪では、すでに大きな会場で演出をされているのでしょうか?

郡:実は、関東のお客様が8~9割なんです(笑)。私は関西の出身で会社は大阪にありますが、五感で感じる演出を取り入れようとしてくれるのは関東が多かったり、イベントの数自体が関西と関東では圧倒的に違うので、ずっと行ったり来たりしています。

——〝嗅覚〟を追求しようというエンタメは確かにまだ少ない気がします。

郡:〝ホテルのロビーでよい香りが漂ってくる〟といったものはスタンダードになりつつありますが、映像に合わせて1シーンだけ香りを出すというのは、まだまだ新しいですね。

音響にも通ずる〝香り演出〟の世界!

こちらは、香りの空間演出に用いる機械です。調香された香りをスイッチひとつで噴霧!会場のサイズによって台数を変え、自由自在にエンターテインメントを演出します。ちなみに〝BRAX〟とはセカンドステージ株式会社さんによるオリジナルブランドのこと。

香り演出装置「AN1000-1」のプロモーション映像。

——ところで、こちらの機械の製造はどちらでされているのでしょうか。

郡:製造は自社でしていて、販売をセカンドステージ株式会社さんにしていただいています。設計から自社で行っていますね。デザイン含めて基板などの設計を決めてから工場で作ってもらい、組み立ててもらったものを卸しています。

——そこまで自社で行っているんですね。

郡:機械を売って終わりではなく、私は現場で働きたいので演出現場のコンサート会場などに行き、機械を設置してオペレーションをして撤収まで行う一連の流れまでやっています。うちはそれがメインで、販売をセカンドステージ株式会社さんにしていただいている形です。

——なるほど!販売したあとの使い方・演出のサポートまでをプロフェッショナルとして行っているわけですね。

郡:どれくらいの大きさの会場であったら、どれくらい噴霧をすればいいとか、どんな香りがいいかなどプランを提案することもやっていますね。

——そう聞くと、音響に近い気もしますね。どこに設置したらどこまで届くかを設計するという。

郡:そうですね。大劇場では、タイマーを使って「どのくらいの秒数で一番後ろの客席まで届くか」を計って微調整したりということを、泥臭く現場でやっております(笑)。

バンダイナムコアクセラレーター2019採択後に目指すもの。見えない〝香り〟をおみやげに!

——それでは、バンダイナムコアクセラレーター2019を知ったきっかけを教えてください!

郡:SNSですね。運営会社であるゼロワンブースターさんは以前から知っていましたが、バンダイナムコさんと一緒にやってらっしゃることはSNSで初めて知りました。

——といいますと、バンダイナムコに何か親和性を感じた部分があったのでしょうか。

郡:はい、色々なアクセラレーターやビジネスプランコンテストなど、ベンチャーを支援してくださるプログラムがありますが、私の事業が直接社会問題の解決へ向かう商品ではなく、エンターテインメント要素が強かったり香りという見えないものを扱うサービスなので、分かっていただけるところはとても貴重です。その点でバンダイナムコさんは当てはまると思ったので応募しました。

——では、採択されてこれから描いている青写真を教えてください。

郡:バンダイナムコさんに自社のサービスを使っていただきたい、というのが最初の目標です。ただ、今はそれ以上にお話が膨らんできましたので、イベントで使っていただく以上のお話が進んでいます。

例えば、「キャラクター香水」というのはすでに製作されている会社がありますので、同じことをするのではなくライブ感を大切にして、まずイベント会場で没入感を体験していただいてから〝おみやげ〟として持ち帰っていただくのがベストと考えています。

ライブを一緒に体験した人たちが同じ香りを〝あのときの思い出〟として持ち帰れるグッズにしたいと思っています。香りはすごく記憶に残るので、そこを進めていきたいなと思います。

展示会では、同じ装置を使って桜の香りを再現したブースも。確かに思い出や風景は、その場所の香りとともに記憶されていますね。目に見えない、香りの世界を探究する郡さん。その先には、我々の五感をさらに楽しませてくれるエンターテインメントの未来が待っているはずです!

株式会社SceneryScentの事業紹介プロモーション映像。※法人設立以前のもの

いかがでしたでしょうか!今回でバンダイナムコアクセラレーター2019採択企業5社、すべての紹介が終了しました。採択5社の成果発表会、Demo Dayが行われるのは2020年1月30日!はたして各社は、どのようなサービスの進化を見せてくれるのでしょうか!3rd Factory レポートではDemo Dayの様子もしっかりお届けしていきますので、期待していてくださいね!